masakiのブログ

なんか書くぞ!

地元の印刷屋が中途半端にWebに乗り出して色々と問題が多いから改善したい

都会だと、印刷とWebってちゃんと分けられていて、Web専門の企業なんてところも珍しいものではないと思う。

が、地方だとWeb専門の製作会社なんてのは結構少なくて、ほとんどの場合は印刷屋が片手間感覚でWebもしますよーって言ってるケースの方が多いって言う実感がある。

もちろんそうじゃないところもあるんだけど、少なくとも僕の住んでいるところではWeb専門でやってる会社はないと記憶してるし、一応専門っぽいように見えるが、実際は窓口的な役割をしているだけで外注がほとんどってところのようだ。

で、印刷屋がWeb事業始めたよ! って言って、その手のお話を聞くことも増えたんだけど、これが結構ひどいというか、いつもの業務に比べると苦労することが多くて、なんでなんだぜ? って思ってたんだけど、ようやく自分の中でしっくり来る答えじみたものが言葉にできそうなので残しておこうかと思う。

ただ、必ずしもこのパターン全てが該当する! って言う話じゃなくて、あくまで「こういう話もあるんだよ」って程度に見ておいてね。

 コスト計算をDTPベースで考えている

まーまずはこれだ。

例えば、A4サイズのチラシなんて片面の金額は今時そこまで高いものではない。

今時はパソコンスペックも上がり、全体的に現場の質もかなり向上しているから時間がかかりまくるなんてこともそんなにないはずなんだけど、このノリをWebサイトにまで持ってくるから話がややこしい。

例えばね、例えば! の話なんだけど、A4チラシ片面フルカラーでデザイン料1万5000円で! って話になると、DTP的なものなら割と請ける人いると思うんだけど、じゃぁこれWebでLP1ページ同一価格でいけるでしょ? って話になるとゴルァ! って人も出てくるんじゃないかと思う。

DTPの場合は出来上がったデザインはそのまま出力しちゃえばいいけど、Webの場合はデザインが確定後、コーディングであったり、場合によってはスマホ対応など、画面解像度に応じた処理をしなければならないこともあって、かかる時間も相当だ。

DTPだと「デザイン代+印刷代」だが、Webだと「デザイン代+コーディング代+仕様追加代」みたいなところがあって、さらにDTPだと現物があるので手に取る分価値が分かりやすいが、触れられないWebだとその価値基準を伝えづらい。

でもそれを説明しても相手は分からないから伝わらないって言う悪循環。

この時点でなんだかもう色々とモチベーションが下がる。

これ、一般のお客様ではなく、印刷会社の営業さんですらこんな認識の場合多い。

結果!結果!作業時間はコストに含まれていません!

これは必ずしもって話ではないのと、相手は「印刷会社」であるってことが前提なんだけど、印刷物って予定納期は相当シビアで、印刷という物理的にかかる時間のこともあって、その辺りは結構うるさい。

だから無理なスケジュールが発生した場合も時間の余裕が作れず、長時間残業をして無理くり仕上げるってのが日常茶飯事になり、もうなんて言うか色々と悪いものの温床となってしまってるんだけど、上記の通り、印刷物は「デザインが完成した時点でOK」というほぼ絶対的な約束が存在している。

デザインでOK貰えれば、あとは印刷するだけなので、印刷スケジュールに滑り込ませられれば勝利感あって、逆に言えば「完成すれば全てOK!」って言う考え方が時間的コストを無視してしまう土壌ともなりかねないところがある。印刷しちゃうと、もう修正も出来ないし。

が、Webの場合は「完成」って結構曖昧で、例えば実稼働させられる状態で納品まで出来れば、それはひとつの完成なんだろうけど、長時間同じ形のままではいられないこともある。

定期的に更新もしていかないとならないし、更新してみないと発覚し得ない諸問題が発生する場合もある。

そう言った場合の対応が求められるのだが、「納品後の修正の有無」ってのはWeb専門でやってるところはその辺り考えられているものの、印刷メインでやってるところだったりすると、そこら辺抜け落ちてて、でもクライアントには逆らえず勝手に修正しようとしてしまい、ドツボに陥っちゃうケース。

納品物という結果主義でコストを計算しちゃいがちなところがあって、その後のフォローに関してのコスト意識が欠落している典型例で、でもギリギリの金額でやってる上に入金受けちゃってて、さらに作業時間のフォローも無いから、なんだか無駄な作業を強いられてるような…。

これも本来なら、印刷物とWebは全く違うものだから、金額計算も考慮しないといけないんだよって奴なんだけど、やっぱりDTP感覚で金額決めちゃってて後が無いパターンと化す。

自分が分からないからクライアントにも説明出来ず言いなり

これは印刷会社に限った話ではないんだけど、とにかく会社の命令でWebもするから、そっちも取ってこい! って話になり、印刷物の営業と併せてWebに関する営業も始めてみたものの、考え方がDTPの延長線上だからDTP的なことしか話が出来ず、これくらいのデザインなら簡単に出来そうだな みたいな感じで持ち帰ってきて実際に作業してみると地雷でしたパターン。

見た目でいろんなことを解決出来ると考えがちなところがあるから、この場所とこの場所を変えるくらい簡単でしょう? 的なものでも、内部でソースを変更するのが思いのほか手間ってケースは多い。

例えば順番に並んだ画像を入れ替えて欲しいって話になると、もしも画像名に「01」とか数字入れちゃってたりすると、画像のリネームからスタートという至極面倒な話になりがちだ(それ経験して以来、もう番号で画像名つけるの極力避けるようになった)

でもそう言うことが分からず、イラレ的なノリでほいさっさと画像配置しなおせると思われてる節があり、さっくり「この順番変えておいてねー」とか言われたりする。

手間がかかるとか言うといきなり難色を示す顔になり

「でももう出来るって言っちゃったからなー」

って。いや、出来るけどさ、そこには相応の作業ってのがあるんだよ…。

その辺りを理解されず、仕様追加、ソースごと大きく変更せざるを得ない修正依頼とか来ると心が折れる。そして毎度のパターンで説明しても伝わらない。

そもそも、「仕様」と言うもの自体が伝わらない。

印刷会社特有のジレンマに振り回される

これはとても難しい問題なんだけど、印刷会社ってことはメイン業務は印刷業なわけで、とくに零細企業だと、新聞の折り込みチラシをやってるところも多い。

で、Web始めましたって紹介したものの、「今後はWebの時代だし、作ってもらった広告をpdfかなんかにしてホームページにアップしておいてよ。無料で。」
とか言われると逆らえないケースもあったり。

中には「チラシ代金の中にWebも含んであることにしておいて、チラシ配布と同時にホームページも更新しておいてよ。でなきゃ今後仕事は出せない」
なんて言われると結構苦しい。

フリーランスであれば「そうですか話になりませんさようなら」が通じるけど、企業というのはそこまでシンプルでない場合の方が多く、首を縦に振るしかないパターン。

どこも仕事が少ないから、取引が一件でもなくなると死活問題だったりするところがあって、その埋め合わせをこちらに持ってこられても、そもそもの予算が無いんだから動くに動けない。

悲しみ。

DTP的デザインとWeb的デザインは似てるようで結構違う

DTP的なデザインとWeb的なデザインって似てるようだけどアプローチって全然違うところがあって、例えばDTPは様々なオブジェクトを自由配置する事が出来るメディアなので気にならないことでも、Webの場合はそうでもなく、共通エリアとコンテンツエリアは出来るだけ明確にし、コンテンツエリアだけを編集する作業に流れを組みたいって言う意図はあったりすると思うんだけど、DTPで慣らした人がWebデザインをしてみると、なぜそんなところにパンくずあるの? とか、なんでページごとに共通エリアバラバラなの…とか不満が出ることが多い。

要するに、固定でいいはずの場所をページごとに再編集しなきゃいけないって箇所が結構多くて、僕的にはピクセルがどうとかズレがどうとかよりもこっちのが困る。
そして確実に一回以上ミスが出る。

あとジャスティファイ使うな。Webだと大変ややこしい(これは愚痴)

この対策って、ピクセル的な話をしなきゃいけないところからスタートするのはもう仕方がないとは思ってるんだけど、配置的なもので、作業エリアと固定エリアは明確にした上でデザインを組んだ方が良いって提案していくことになるんだけれども、なかなか聞いてもらえない(そりゃデザイナーさんにとったら自分のデザイン否定されてるようなもんだしね…)

よし、これらを改善するにはどうすれば良いだろう!

ここまで愚痴を吐き続けておいてアレだけれども、この状況は打破したい。

かといって、一介の弱小フリーランスが企業相手にどこまで説得出来るかと言われるとなかなか難しい。

方法は色々あると思うんだけど、結局のところ、肝要なのは「相手の土俵で分かりやすいものを提示する」という何とも普通の結論に落ち着いた。

結局のところ、言葉で理解を得るのは困難だし、この業界やたらと横文字が多い。

どっちが優れているとかそう言う話でもなく、DTPにはDTPとしてのやり方があるし、WebにはWebのやり方がある。大切なのは「同列視」しないことで、似てるような職種でも、納品プロセス自体は全然違うのだから、同じ手法でのアプローチは自身の首を絞めかねない危うさがある。

それなら、実際に結果を出し、自分の方法でこれだけのことが出来て、これだけの仕事をこなし、こういう環境を作っていると言うものを明確に見せてあげれば良いといったところだ。

あなたが高いと思ってる金額ですが、これだけお支払いいただければこれくらいのことはするし、実際これで評価を得ている。

あなたが無駄と思っていることでも、この部分を念頭においておくことで、こんなトラブルでも対応することが出来ている。

あなたがクライアントに強く出られないなら、僕が代わりに交渉しても良い。

それくらいの結果が出せるなら文句は出ないだろうというラインで自分自身のキャリアを上乗せさせればいいってところで、それはそれで難しいとは分かれども、100の言葉より1の事実で説き伏せちゃう方が手っ取り早いよなと。

もちろん僕自身が正しいかと言われればそうとは限らないし、相手にも相手の事情ってもんがあるからそこまで強く言う気はないし、必要であれば妥協もする。ただ、仕事をすると言う意味でお互い相容れないなら、その時はその時と腹を括るしかない。さようならの覚悟もいる。

それでも、自分でも言葉にするのは難しいけれども、今の地元の環境をなんとかしたいとは思う(出来れば自分が働きやすいように)

もちろん僕が仕事を楽にするためでもあるけど、もうちょっと地元のWeb業界が発展してくれるといいなとか、せっかく印刷物という武器があるんだから、もっと今の時代に合わせてよりよい武器に仕立てられないもんかな とか。

今のままだと、多分Webの持つ特色を活かせられない。
作って納品はい終わり。でも途中で要望が出たら直してね。無料で。なんて言われてもそもそも考え方が違うんだから対応出来ない場合の方が多い。

思うところは色々あれども、今のところは不満だらけなんで、ある程度はなんとかしたいって気持ちはまだ残ってるんだ。

そういうことを考えるようになって最近地元の会社と打ち合わせをするようになったんだけれども、僕っち意識高そうな奴だよなー。偉そうだよなーとか、迷うことも多く、さて、どうなるかなー。